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フレイル対策フレイルとその予防対策

監修:鈴木 隆雄
桜美林大学 老年学総合研究所所長、大学院教授/国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター 総長特任補佐

フレイルとその予防対策

フレイルとは

フレイルは、学術的な定義が確定していませんが、「加齢とともに、心身の活力(運動機能や認知機能等)が低下し、複数の慢性疾患の併存などの影響もあり、生活機能が障害され、心身の脆弱化が出現した状態であるが、一方で適切な介入・支援により、生活機能の維持向上が可能な状態像」とされています。
わが国の高齢社会を特徴付ける最大の現象は高齢者、なかでも75歳以上の「後期高齢者」の著しい増加です。平成24年での65歳以上人口は3,079万人、総人口に占める割合は24.1%となっており、前期および後期高齢者のそれぞれの割合は12.2%と11.9%で、比率としてはほぼ1:1となっていますが、今後も著しく進行する後期高齢者人口の急増によって、2030年には1:1.6、さらに2060年には前期高齢者は13.0%に対し後期高齢者は26.9%となり、その比率はほぼ1:2にまで増大すると見込まれています。 今後急増する後期高齢者の特徴のひとつは「フレイルの顕在化」ということができるでしょう。フレイルは、これまで日本では「虚弱」とされてきた状態ですが、これは老化に伴う種々の機能低下、すなわち予備能力の低下が基盤にあり、そのためにさまざまな健康障害に対する脆弱性が増加した状態とされ、いわば要介護状態に移行しやすい状態といえます。つまりフレイルは、健常な状態と機能障害との間の「移行状態」で、適切な対応により健常化する可能性のある状態と規定されます。

フレイルは健康障害に容易につながる心身の脆弱な状態ですが、その構成要素として身体的要素、精神的要素、そして社会的要素が考えられています。
身体的要素の中には、昨今大きな問題となってきたロコモティブシンドローム(運動器不安定症)やサルコペニア(加齢性筋肉量減少症)などが含まれ、精神的要素には老人性うつや軽度認知障害(MCI)などが含まれます。
さらに社会的要素としては、社会的紐帯の減少に基づく「活動」や「参加」の低下、孤立、閉じこもりといった状態が含まれます。
これらの三要素は相互に強く関連し、フレイルの予防対策にはいずれの要素も欠くことができません。

フレイルは多次元の領域にわたる

フレイルは多次元の領域にわたる

フレイルの概念

フレイルの概念

※現時点では、慢性疾患のフレイルへの関わりが十分なエビデンスの基に構築されているわけではないことに留意が必要。